虫歯
虫歯の原因
虫歯の直接的な原因は、虫歯菌が生成する酸です。虫歯の原因菌は10種類程度あるとされていますが、そのうち、最も酸を生成する力が強いのが「ミュータンス菌」です。ミュータンス菌は、口腔内で食べ物や飲み物などの糖分を分解して、グルカンという粘着質の物質を作り出し、歯の表面に張り付いて歯垢(プラーク)を形成します。菌が増殖すると「バイオフィルム」と呼ばれる膜が形成され、歯が覆われます。バイオフィルムはご自宅でのブラッシングなどのケアだけでは取り除くことができず、菌にとって絶好の環境下で、ミュータンス菌は糖分から酸を生成し続けます。その結果、歯のエナメル質(歯の表面)が少しずつ溶かされていき、表面に穴が開いて虫歯が作られます。
虫歯の進行を助長する要素
過剰な糖分の摂取
虫歯の原因菌は、食べ物や飲み物などに含まれる糖分を分解して酸を生成しますので、過剰に糖分を摂取すると虫歯の進行を助長する場合があります。
だらだら食べ
だらだら食べなど1回の食事時間が長いと、歯の石灰化を促進する唾液の作用が追いつかなくなり、脱灰時間が長くなって、虫歯の進行が助長される傾向にあります。
不適切なブラッシング
不適切なブラッシングにより、磨き残しが多いと、虫歯になりやすくなったり、虫歯の進行を助長したりする危険性があります。
段階別の虫歯の治療方法
虫歯の進行はCO(シーオー)からC4までの5段階に分類することができます。各進行度合いに応じた治療方法をご紹介します。
CO(初期の虫歯)
歯に穴が開く前の初期の虫歯です。この段階では、歯の表面に白濁などの異変は認められるものの、痛みやしみなどの症状は現れません。
<治療方法>
歯を削るなどの治療を行わなくても、適切なブラッシングやフッ素塗布などの治療により、歯の再石灰化を促進して治癒をはかることが可能です。
C1(エナメル質の虫歯)
歯のエナメル質にだけ穴が開いた状態です。痛みなどの症状はまだありませんが、歯の表面が黒くなったり、茶褐色になったりします。
<治療方法>
虫歯部分を必要最小限だけ削り、レジン(歯科用プラスチック)を詰めるなどの治療を行います。
C2(象牙質の虫歯)
エナメル質を突き抜けて、象牙質に達した虫歯です。強い痛みなどはありませんが、冷たいものや甘いものなどがしみたりするようになります。また、強く噛むと痛みが生じる場合もあります。
<治療方法>
虫歯部分を必要最小限だけ削り、レジンを詰めるなどの治療を行います。必要に応じて局所麻酔を実施します。
C3(歯髄の虫歯)
虫歯が歯髄にまで達した状態です。歯髄には神経などが通っているので、平常時でも痛みが生じたり、熱いものがしみたりするようになります。
<治療方法>
虫歯菌に汚染された神経を除去するなどの根管治療が必要となります。治療後、被せ物を入れて失われた歯の機能性の回復をはかります。
C4(歯根の虫歯)
歯冠部分(歯茎の上の部分)がほとんど崩壊した状態です。歯髄は壊死しているため、痛みなどの症状が軽減しますが、歯髄に感染した虫歯菌が歯根部分にまで進行すると、顎が腫れたり、激痛が生じたりする場合があります。
<治療方法>
この段階まで虫歯が進行すると、抜歯を検討しなければいけなくなります。抜歯後は、入れ歯、ブリッジ、インプラントなどの治療で失われた歯の機能性の回復をはかります。
痛くない・削らない虫歯治療
無痛治療
治療にともなう痛みをできる限り抑えるために局所麻酔を使用することがありますが、麻酔注射時に激しい痛みを感じさせては本末転倒です。そのため当院では、患部に表面麻酔を塗布して感覚を麻痺させた上で、針のない麻酔器で麻酔液を注入します。なお、麻酔の効きが悪い場合などには、必要に応じて、コンピュータ制御により一定のスピードで麻酔液が注入できる電動麻酔器を使用することもあります。電動麻酔器を導入例の少ない最新機器で、麻酔液の注入スピードを一定に保つことで、注射時の痛みを軽減することができます。なお、電動麻酔器を使用する際には、当院オリジナルの最新脳科学と東洋医学のつぼを組み合わせた方法を併用して、痛みの発生をさらに抑えます。
炭酸ガスレーザー
歯科用レーザー治療器は、従来の治療方法によって発生する痛みを最小限に抑えることが可能です。歯科用レーザー治療器のうち、炭酸ガスレーザーはレーザーメスとして、歯茎の切開や止血、根管治療、歯周病治療、口内炎治療などに使用され、少ない痛み・不快感で治療を行うことができます。また、治療後の治癒を促進する効果も期待できます。
3mix法
3mix法とは、3種混合抗菌剤を調合して虫歯部分に詰めて、歯髄(歯の神経)を含む歯全体を無菌化する治療方法です。この方法により歯を削る量を最小限に抑えることができたり、歯髄の保存をはかることが可能となったりします。従来の治療方法と比べて、少ない痛みで治療が受けられます。ただし、患者様の虫歯の進行度合いによっては適応とならない場合もあります。
ダイアグノデント
ダイアグノデントとは、歯質にレーザーを照射して、その反射光を読み取ることで虫歯部分を正確に診断する機器です。これまで、虫歯の種類によっては歯を削らなければ正確に診断できない場合があったのですが、ダイアグノデントを使用することで、歯を削らなくても正確な診断が可能となり、不必要な歯の切削が防げるようになりました。
口臭
口臭が気になる方の中には、「どこで治療を受ければいいのかわからない」という方もおられるのではないでしょうか。当院では口臭でお悩みの方に、口臭の原因と特定したり、口臭を改善したりする治療を行っていますので、お悩みの方はお気軽にご相談ください。
口臭の原因
現在、日本人の約10%が口臭に悩んでいると言われています。口臭の原因は様々で、大きく分けて「生理的口臭」「外因的口臭」「病的口臭」の3つに分類することができます。
生理的口臭
歯や舌の汚れや細菌が生成する成分によって発生する口臭です。口臭のほとんどは、この生理的口臭であるとされています。起床時、空腹時、緊張時などに口腔内が乾燥したりすると、普段口臭がない方でも口臭が強くなることがあります。
外因的口臭
にんにくやニラなどの臭いの強い食べ物の摂取、飲酒、喫煙などの外的要因により口臭が発生する場合があります。
病的口臭
虫歯、歯周病などの口腔内の病気のほか、消化器、呼吸器、喉、鼻などの疾患が原因で口臭が発生する場合があります。
知覚過敏
知覚過敏とは
「冷たいものがしみる」「歯ブラシが歯に当たると痛い」「歯に風が当たるとしみる」などの症状をお感じの場合には、知覚過敏の可能性があります。知覚過敏とは、歯周病などが原因で歯茎が下がり、これまで歯茎で覆われていた歯根部分の象牙質が露出することで、痛みやしみなどを感じる症状です。知覚過敏は比較的簡単に改善するケースが多いのですが、放置していると、歯の神経を抜くなどの大がかりな治療が必要となるケースもありますので、「歯がしみる」「歯が痛い」などの症状をお感じになった時には、決して放っておかずに一度当院までご相談ください。
知覚過敏の症状
- 冷たいものがしみる
- 温かいものがしみる
- 甘いものがしみる
- 酸っぱいものがしみる
- 歯ブラシが歯に当たると痛い
- 歯に風が当たるとしみる
知覚過敏の原因
力任せのブラッシング
ブラッシング時の力が強すぎると、歯のエナメル質(歯の表面)がダメージを受けてすり減り、知覚過敏が起こりやすくなります。
歯ぎしり
歯ぎしりによっても、歯のエナメル質がダメージを受けてすり減り、知覚過敏が起こりやすくなります。
噛み合わせの悪さ
噛み合わせが悪いと一部の歯にだけ過度に力が加わり、歯が崩れて知覚過敏が起こる場合があります。
酸性の食べ物・飲み物
酸性の食べ物・飲み物を過剰に摂取したり、長時間口に含み続けたりすると、酸によりエナメル質が溶けてしまう場合があります。酸性の食べ物・飲み物として、炭酸飲料、アルコール類、柑橘系の果物、梅干しなどがあります。
歯周病
歯周病により歯茎が下がってしまうと、これまで歯茎で覆われていた歯根部分の象牙質が露出して、知覚過敏が起こりやすくなります。
虫歯
虫歯が原因で歯に穴が開くと、象牙質が露出して知覚過敏が起こる場合があります。
ホワイトニング
ホワイトニングで使用するホワイトニング剤が原因で、知覚過敏が起こる場合があります。ホワイトニング中に症状をお感じになったら、すぐに治療を中止して当院までご連絡ください。通常、ホワイトニングによる症状は一時的なもので、治療を中止すれば治まります。
歯石除去
歯石除去により象牙質が露出すると、知覚過敏が起こる場合があります。
加齢
加齢にともない歯茎が下がることで、知覚過敏が起こる場合があります。
知覚過敏の治療
薬の塗布・コーティング剤による保護
知覚過敏用の薬を塗布したり、コーティング剤によって歯を保護したりすることで、外部の刺激から歯を守って症状を改善させます。
マウスピース(ナイトガード)
歯ぎしりが原因で知覚過敏が起こっている場合には、「ナイトガード」などのマウスピースを使用して歯ぎしりを抑えて、症状を改善させます。
歯周病の治療
歯周病により歯茎が下がり、知覚過敏が起こっている場合には、歯周病の治療を行って症状を改善させます。
消炎鎮痛剤の服用
知覚過敏の症状が強い場合には、消炎鎮痛剤を処方して、痛みやしみなどの症状を一時的に抑える治療を行う場合もあります。
レーザー治療
露出した象牙質にレーザーを照射して、しみなどの症状を軽減します。
歯の神経を抜く
知覚過敏の症状が強く、他の治療を行っても症状が改善しない時などには、歯の神経を抜いて症状を改善させる場合があります。ただし、神経を抜いた歯はもろくなるので、治療方法としては最後の手段となります。
口内炎
口内炎とは
口内炎とは、歯茎や舌などの粘膜にできる炎症の総称です。口内炎には、「アフタ性口内炎」「カタル性口内炎」「ウイルス性口内炎」「カンジダ性口内炎」などの種類がありますが、最も多くみられるのがアフタ性口内炎です。アフタ口内炎は体調が崩れている時に発生しやすく、白くて丸い窪んだ潰瘍を作ります。通常、アフタ口内炎は体調管理に気をつけていれば1~2週間程度で治りますが、症状が長引いたり、悪化したりする場合には、当院を受診して適切な治療を受けるようにしましょう。
口内炎の原因
口腔内の小さな傷
口の中を噛んだり、ブラッシング時に口腔内の粘膜を傷つけたりした時に、唾液の分泌量が減少していると細菌が繁殖して口内炎が発生することがあります。
被せ物・矯正装置の不具合
被せ物がきちんと合っていなかったり、矯正装置が口腔内の粘膜に擦れたりしていると、口内炎が発生することがあります。
入れ歯のカビ
入れ歯や口腔内が不衛生な状態だと、カビが発生して口内炎ができる場合があります。
金属アレルギー
口腔内に金属製の歯科素材が入っていると、それが原因で金属アレルギーが引き起こされて口内炎は発生することがあります。
疲労・ストレス
疲労やストレスなどにより抵抗力が低下したり、ビタミンB群が不足したりすると、口内炎が発生しやすくなると言われています。
細菌・ウイルス
ヘルペス、梅毒、淋病、クラミジアなどの細菌・ウイルス感染症によっても、口内炎ができる場合があります。
口内炎の治療
レーザー治療
口内炎にレーザーを照射して、口内炎を治療します。レーザー治療は副作用もなく、消炎、殺菌、鎮痛、消毒、止血などの効果もあるので、妊婦様やお子様でも安心して治療が受けられます。
高周波治療
高周波電流を流して患部で熱を発生させることで、炎症を抑えます。人体への影響もなく、安心・安全な治療方法です。